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●社長洋行記
サクランパスという貼り薬で知られる桜堂製薬は、このところ香港を中心とする東南アジア市場でライバル会社、椿バスターに押されぎみだった。これは由々しき問題と社長の本田英之助は原因究明にのりだした。東海林営業部長の話では、国外販売は加藤清商事に任せっきりだという。それなら加藤社長に直接談判をと、ゴルフコンペを企画するが、その当日の朝、娘のめぐみが朝帰りをし、恋人連れてきた。大騒ぎの英之助はその日のゴルフコンペをキャンセルし、後日、英之助はマダム悦子のいる香港亭へ加藤社長を招待した。だが相手は、自社での取引比率が極めて小さく、「たかがアンマ膏」と頭から相手にしない。業を煮やした英之助は、それなら自らの手で国外に売り出そうと、香港への洋行を決意した。
随行員は秘書課長の南と営業課長の中山に決定。初めての洋行に有頂天の中山は、お手盛の送別会を準備する図々しさ。こんな中山をさすがに英之助ももてあましていたが、そんな時、東海林の恋人あぐりの義兄が、香港の商事会社にいることが分かり、急遽中山の代わりに東海林が随行員となった。
めぐみの結婚式を済ませ、翌日あわただしく香港出発となり、飛行機に乗り込んだ英之助たちは、そこで香港亭のマダム悦子にばったり会った。彼女は香港に出している店、東京亭へ行くところだった。
香港で、街を歩いていた南は、大学の後輩柳宗之に出会った。柳は妹の秀敏と共に香港を案内してくれたが、南は彼女の美しさに心もそぞろだった。一方、悦子を訪ねて道に迷った英之助は、今南と別れたばかりの秀敏に親切に案内され、そのしなやかな柳腰に見とれるばかり。東海林までが、マーケットでみやげを買うのに言葉が通じず困っているところを、通りがかりの秀敏に助けられた。
その日の夜、英之助が悦子と食事をしているところに、偶然同じ店にやってきた南と柳宗之が合流。調子に乗って、蛇料理を食べ過ぎた英之助はその夜、奇病を発し、のたうって苦しんだ。明日から売り込みだというのに、肝心の社長は、逃げ出すように香港を立ち去っていった。
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