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●社長太平記
婦人下着メーカー“錨商事”の社長牧田庄太郎、大森専務、朝日奈庶務課長は戦時中、同じ艦船に乗り合わせた中だが、現在はその序列がそっくり逆転し、同じ会社に在籍している。そんな錨商事は関西紡績の大資本をバックにした関西の“さくら商会”の東京進出迎撃に社運をかけることになった。勝負は大福デパートへいずれが製品を納入するかにかかっている。雨川営業部長では埒があかないため、大森専務自らが商談に乗り出し、大福デパート間仕入課長を待合で接待することになった。間は無類の女好き、商談そっちのけで庄太郎の女である女将のお桂に色目し、バー“くまん蜂”へ行けばこれまた庄太郎が惚れているマダムのくま子に手を出す始末。焼もちを焼いた庄太郎のために商談は目茶苦茶になってしまった。
未だ独身の大森専務は庶務課長朝日奈の娘てつ子が好きだった。ある日てつ子から銀ブラに誘われ、胸躍らして出掛けてみると、父の調査を頼むと彼女は大森の気持ちも知らず、恋人の中村が待つ劇場に行ってしまった。大森はてつ子に頼まれた約束通り、ある日朝日奈の後をつけた。朝日奈の入った所は海軍キャバレー“くろがね”であった。昔の思い出にひたり、またそこに働く戦友の遺児和枝を慰めるために通っているのを知り、大森は朝日奈の行動に共感を覚えた。そこで大森はてつ子への好意を朝日奈に打ち明けた。
大森と雨川は大福デパートとの契約に成功した。
数日後、てつ子と中村との婚約を知ってがっかり。失恋のショックから出社の気力も失った大森の家に「工場出火」の知らせが届いた。大森は急を聞いて駈けつけた朝日奈と共に製品を必死に運び出し、その甲斐あって品物は無事に運び出された。社長の庄太郎はそれを目のあたりに見、会社再建のために奮起した。錨商事は“さくら商会”に逆攻勢するため福岡に支社を出す事になり大森が支社長となった。朝日奈の定年も五年延長された。
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