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●へそくり社長
明和商事の社長田代善之助は、先代社長の眼鏡に適い、社長夫人の親戚筋の厚子を射止めて、今日の地位を築いていた。そんなある日、芦屋から先代社長の娘未知子が大株主懇談会出席のために上京してきた。大株主懇談会では社員や組合と折り合いをつける善之助の経営方針に対し、赤倉が異を唱え、増配を求めるものの、未知子のとりなしで何とかその場はおさまった。
大株主懇談会の後、未知子は善之助に「芸者遊びをしてみたい」と言い出して、小森も含め、三人で出掛けた。小森はタイピスト大塚悠子との映画の約束をキャンセルすることとなった。善之助は座敷で未知子にのせられて、ドジョウすくいを踊った。
翌日、小森が悠子に平身低頭しているところへ再び未知子が現れ、善之助に小唄の稽古をさせたいから昨夜の料亭へつれて行けと言う。先代未亡人が善之助のドジョウすくいの話を聞いて、そのような下品な芸ではなく、小唄を始めるように薦めたためである。
善之助から小唄師匠の小寿々への手土産代の借金を申し受けた小森は、善之助にへそくりの方法を進言した。まず出張旅費をごまかす法、財布を掏られたと称する法、ボーナスの支払伝票を偽造する法などなど。
小寿々の元へ善之助が通い続けて間もなく、小寿々の誘いで善之助は呼び出され、相談事があると一緒に旅館に向かった。そこで小寿々が小料理屋を開業したいから五十万円ほど都合してくれないかと善之助に色気たっぷりに持ちかけた。そこで、善之助が先に入浴して小寿々が入ってくるのを待つが、小寿々は急用で帰宅し、残された善之助は湯あたりでダウン。悠子と映画を見るはずだった小森が映画館から旅館に呼び出された。
待望のボーナス支給日、善之助はボーナスの伝票を二本立てにして、それで小寿々への約束を果たせると喜んだ。その夜、恒例の社員慰労会で、善之助が経理部長とともに得意のドジョウすくいを見せていると、先代未亡人が未知子と妻厚子をつれて会場へ現れたので、善之助は酔いも醒め果て、その場に平伏した。
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