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●社長えんま帖
マルボー化粧品社長の大高長太郎。懸案の男性用化粧品の新製品ネーミング会議は、この日、親会社丸山紡績の梅原大社長の古稀祝賀会が大阪で開かれることになったため、今日も時間切れ。会議を切り上げ、大阪へ向かった長太郎は飛行機内で祇園の芸妓香織と再会し、胸をときめかせた。
古稀祝賀会は盛況だった。だが、長太郎は、大社長に看護婦を装って付添っている女性が元芸妓の花丸と分かり、気になって落ち着かなかった。祝賀会で大社長も元に呼ばれた長太郎は、そこで“攻撃は最大の防禦なり”の精神を吹きこまれた。その時、長太郎の脳裡に浮んだのは、日米合資会社設立を願っているという日系三世のポール花岡だった。翌日からポールとの提携作戦に乗り出した長太郎は、いつになく積極的で、「新製品の名前はアタック。セスナ機を購入し、空飛ぶ社長室から販売の攻撃命令を発する」と社の幹部に発表した。秘書の中沢は飛行機操縦免許を持っており、セスナ機を利用した営業の新政策を喜んだが、社長の行動範囲が拡がるにつれ、西条の妹の章子とのデートもままならなくなってしまい、しだいに困ってしまっていた。
ある日、長太郎は執拗な香織の呼び出しに応じ、大阪へ出掛けた。ところが、大阪の空港で支店を視察中のポールと富田林に出くわしてしまった。長太郎は、その場をうまく胡魔化したものの、ポールの意向に合わせて香織同伴のまま自家用機で九州まで行くことになった。しかもその夜、ポールが病気で倒れ、てんてこ舞の大騒ぎとなった。
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